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呂布貂蝉に惑い、連環の計成る

呂布は王允に向かって頭を下げ、
「それがしあのおいぼれめを誅殺することを決意いたしました」
「漢王朝が保つことが出来るかどうかは、ひとえに呂布殿のお力にかかっています。決行の際の策略は、わたくしめにお任せください」
と王允が言えば、呂布は頷いて帰っていった。

 

さて、王允は政を理由に董卓を呼び寄せ、宮門内に兵士を潜ませておいて、呂布に殺させることにした。董卓を呼び寄せる役目には李粛(りしゅく)を選んだ。彼は丁原(ていげん)から呂布を引き抜くなど功績があったにもかかわらず、董卓に冷たくあしらわれており彼を恨んでいたのだった。李粛は呂負がいれば百人力と、協力を約束した。

 

次の日、李粛は董卓の元を訪れて言った。
「何の用で参った」
「帝が董卓様に御位を譲られたいとお考えになり、それがしを遣わしたのでございます」
「王允はどう考えておる」
「王允殿はすでに準備を整え、董卓様がおいでになるのをお待ちしております」
董卓は直ちに李かく(りかく)、郭(かくし)、張済(ちょうさい)、樊稠(はんちゅう)ら四人に命じて城を守らせ、自らは即日行列を整えて都に向かった。出発にのぞんで、貂蝉に、
「わしが皇帝となった暁には、そなたを貴妃(皇后に次ぐ皇帝の妃)に立ててやるぞ」
と言った。貂蝉は計画が進んでいることに気が付いたが、笑顔で礼を述べた。

 

董卓が都に着くと、兵士らは全て門外に留め、僅かな伴を引き連れて中に入った。すると宮殿の門の前に王允らが各自剣を手にして立っているのを見て驚いた。
「国賊が参ったぞ。兵士共これを討て」
王允が叫べば、両側より百人以上の兵士が武器を手に一斉に突いてかかった。董卓は命からがら車から転げ落ち、
「呂布はおらんのか」
と叫ぶ。すると呂布は車の後ろから、
「逆賊、覚悟しろ」
と堂々と名乗って董卓の喉を突き通し、李粛が素早く首をかき斬った。
呂布が
「逆賊董卓を討ち取った」
と叫べば、武士、役人こぞって万歳を唱えた。
「董卓の悪逆非道を助けたのは、李儒であるぞ。誰か生け捕りにしてこい」
と呂布が叫ぶと、李儒は召使いに縛られて突き出された。王允は李儒を市中引き回しの上斬首するように命じ、また董卓の死骸を都大路に晒させた。董卓の死骸はぶくぶくに太っていたので、見張りの兵士がへそに蝋燭の芯を刺して火をともせば、幾日も消えることなく燃え続けた。通りがかりの人民は、その頭を殴り、骸を踏みつけない者は居なかった。
王允はまた呂布に命じて、皇甫嵩(こうほすう)、李粛に共に董卓の城へ赴いて財産、家人を没収させることとした。