三国志演義.com - やさしく読める三国志演義 -

李かくら大権を欲しいままにし、馬超大いに戦果を挙げる

さて、逆賊李かく(りかく)、郭(かくし)は献帝(けんてい)を弑しようとしたが、張済(ちょうさい)、樊稠(はんちゅう)がこれを諫め、
「今はまだその時期ではない。今日この場で殺したりしたら他の連中が黙っていないだろう。まずは帝の忠臣を片付けてから始末すれば、天下は我々の物になるというものだ」
李かく、郭は納得し、武器を収めた。
献帝が楼上より、
「王允を殺したのに、何故軍勢を退かぬのか」
「我々は王室のために功労を立てましたのに、まだ何の沙汰も頂いていないので、こうしてお待ちしている次第です」
「そなたらはどのような官職を望むのか」
四人はそれぞれ望みの官位を伝え、その官職を授けられるよう強要した。献帝は仕方が無く、四人の言うとおりの官職を授けた。

 

さて、李かく、郭は大権を握ると、人民を虐げ、己の意思に従わない者は直ちに斬り捨てた。朝廷の人事権はこの二人の思うままにされた。彼等は人望を得ようと、朱儁(しゅしゅん)を都に呼び寄せ、朝政を任せた。

 

ある日、馬騰(ばとう)と韓遂(かんすい)の二将軍が、賊を討つ為長安に攻め上るとの知らせがあった。李かく、郭、張済、樊稠は防衛の策を練った。
そこで賈く(かく)が、
「彼等は遠方より攻め上ってくる為、多くの兵糧を持っていないでしょう。味方は守りに徹し、城に篭っていれば百日もせず兵糧が尽きて自ら兵を引くでしょう。そこで追い討ちをかければ二将軍を生け捕りにすることも出来るでしょう」
すると、李蒙(りもう)、王方(おうほう)が進み出て、
「そのような策を取らなくとも、精兵一万を下されば、見事馬騰、韓遂の首を取ってご覧に入れましょう」
賈くは、
「今戦えば、勝ち目はありませんぞ」
「我らが敗れたら、この首を差し上げよう。しかし勝ったなら貴公の首を貰い受ける」
李かく、郭は一万五千の兵馬を李蒙、王方に与えた。二人は歓喜して出陣し、馬騰、韓遂を迎えうった。馬騰、韓遂は李蒙、王方を指差して、
「国賊めらが。誰か奴らを生け捕りにして来ぬか」
その言葉が終わらない内に、一人の若武者が駿馬にまたがって陣中から踊りだした。顔の色は白玉の如く、眼は綺羅星のような若者である。これぞ馬騰の息子、馬超(ばちょう)、字を孟起(もうき)という、十七歳の猛将である。王方は彼が若輩なのを見て侮り攻め入ったが、数合せずして刺し殺された。馬超が馬を返して陣へ引き返そうとするところを、李蒙が彼の背後に迫る。
「後ろが危ないぞ」
馬騰が叫ぶ間もなく、馬超は李蒙を横抱きにしていた。馬超は李蒙が迫ってきているのを知っておりながら、わざと気付かない振りをしていたのである。李蒙が槍を突いてかかった瞬間、身をかわして空振りさせ、馬が並んだ瞬間を逃さず生け捕りにしたのだった。李蒙らの兵士は大将をなくし、どっと崩れたった。馬騰、韓遂は勝機に乗って賊兵を蹴散らし、一気に攻め入ると李蒙の首を斬って大勝利を挙げた。