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曹操賢士を募り、謀臣猛将を得て山東を威圧す

荀ケが曹操に程c(ていいく)、字は仲徳(ちゅうたつ)を推挙すると、曹操は喜んで彼を迎え入れた。程cは荀ケに郭嘉(かくか)、字は奉孝(ほうこう)を推挙した。荀ケは、
「これはとんと失念をしておりました」
と言うと、早速曹操に報告して彼を招き、ともに天下の事を論じあった。今度は郭嘉が劉曄(りゅうよう)、字は子揚(しよう)を推挙した。劉曄は二人の名士を推挙した。一人は満寵(まんちょう)、字は伯寧(はくねい)で、もう一人は呂虔(りょけん)、字は子恪(しかく)である。二人は毛かい(もうかい)、字は孝先(こうせん)を推挙した。こうして曹操の元に多くの賢士が集った。

 

この時、また一人の武将が配下数百人を引き連れ、曹操の元に訪れた。姓は于(う)、名は禁(きん)、字は文則(ぶんそく)である。曹操は彼が武芸抜群なのを見て重用した。またある日、夏侯惇(かこうとん)が一人の巨漢を連れて曹操に紹介した。曹操が何者かと問うと、
「これは姓は典(てん)、名は韋(い)と申し、武勇に優れた者です。それがし狩りに出ました際にこの者が虎を追って谷を渡るのを見かけ、召し抱えました。およそ50キロの鉄の戟を二本両手に持って馬に乗り、眼にも留まらぬ速さで扱うことが出来ます」
曹操はそれを披露するように命じた。典韋は戟を両の小脇に挟んで馬を飛ばし駆け巡る。するとこの時不意に大風が起こり、本陣の大旗が今に倒れそうになった。慌てて兵士達が支えようとしても支えきれず倒れそうになる。典韋は馬を下りて兵士達を退けると、片手で旗竿をしっかりと掴んで風の中にどっしりと立ち構え、わずかに揺るぎもしなかった。
曹操は大いに喜び、彼を重用すると共に錦の直垂(ひたたれ)と駿馬を一頭与えた。

 

こうして曹操は知には謀臣、勇には猛将を得て、山東を威圧するに至った。そこで父の曹嵩(そうすう)を迎えることにした。手紙を受け取った曹嵩は一族を引き連れて曹操のいるえん州(えんしゅう)を目指し、やがて徐州(じょしゅう)に差しかかる。徐州の責任者陶謙(とうけん)、字は恭祖(きょうそ)は穏やかで誠実な性格であったが、かねてより曹操と縁を結びたいと考えていたものの適当な理由が無く機を逃していたので、曹嵩が通過すると聞くと州の境まで出向き、丁重な挨拶をした上で豪華な宴会を設けてもてなした。曹嵩が出発すると聞いて、配下の張がい(ちょうがい)に命じて道中の護衛をさせた。一行が進んだところ、にわかに激しい雨に見舞われ、やむなくある古寺に宿を求めた。曹嵩は一族を堂内に落ち着けると、張がいたちは廊下に休めるように命じた。兵士達は雨にさんざんに打たれ、恨み言を言った。