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劉備徐州を呂布に譲ろうとし、張飛大いに怒る

劉備は徐州の責任者であるしるしを呂布に与えようとした。呂布は何気なくこれを受け取ろうとしたが、劉備の後ろに関羽(かんう)、張飛が怒気をみなぎらせて控えているのに気がつき、わざと笑い飛ばして、
「それがし如き武者者が、州の責任者など務まるとお思いか」
それでも劉備は譲ろうとしたが、陳宮に止められてようやく思い留まり、宴席を設けてもてなした上、宿所を用意して落ち着かせた。

 

翌日、呂布が劉備を返礼の宴席に招いたので、劉備は関羽、張飛と共に赴いた。酒が程々に回った頃、呂布が妻に挨拶させると言って呼ぼうとするのを、劉備は止めた。すると呂布が言うのに、
「いや弟、そのような遠慮は無用じゃ」
これを聞くなり張飛、目じりを裂かんばかりに見開いて、大声で怒鳴った。
「貴様、何をぬかす。俺の兄貴は漢皇室の血を引く御方だ。貴様は一隊どんなつもりで俺の兄貴を弟呼ばわりするんだ。さあ来い、俺と手合わせしてみろ」
劉備は慌てて張飛を叱り付け、関羽が宥めて連れ出した。劉備が呂布に、
「愚弟の酒の上でのたわ言、ご容赦願います」
と詫びると、呂布は不機嫌な様子を隠そうとしなかった。間もなく酒宴が終わり、呂布が劉備を送って門を出ると、張飛が馬に乗って躍り出て、
「呂布、さあ、潔くかかって来い」
と叫んだので、劉備が急いで関羽に引き止めさせた。

 

次の日、呂布が劉備に暇を告げに来た。
「貴殿の温かいお志はかたじけないが、弟御たちが承知くださるまい。それがしは他所を頼って参ろうと思う」
しかし劉備はこれを引き止めて、
「呂布殿がご退去されるとあっては、わたくしの気が済みません。弟の無礼は、後日改めてお詫び申し上げる次第でございますが、この近くに小沛(しょうはい)と申すところがあります。もし呂布殿さえよろしければ、手狭ではございますがしばらく軍勢を休ませるのにお使いいただきたいと存じますが、いかがでしょうか」
呂布は劉備に礼を述べ、小沛に向かった。

 

さて曹操が山東を平らげて朝廷にこの旨を上奏すると、朝廷は曹操の位を上げた。
その頃、李かくと郭は自ら大将軍となって朝廷を我が物のように振舞っていたが、廷臣は誰一人としてこれに異を述べることが出来ない有様であった。そこで楊彪(ようひゅう)、朱儁(しゅしゅん)がひそかに献帝(けんてい)に上奏して、
「現在曹操は兵二十余万を抱え、郡市武将数十人を抱えております。もしあの者を王朝の力として李かく、郭らを除く事が出来れば、正に天下にとってこの上なき幸せと存じます」
帝は落涙されると、
「朕はあの賊どものために久しい間ないがしろにされて参った。あの賊どもを誅することが叶うのならば嬉しく思うぞ」
とお答えになった。