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郭二将軍を斬り棄て、天子を追う

それを聞くと郭は怒り心頭、
「わしは張済の目を欺いて天子を奪い連れ戻すつもりでいたのだ。お前達は何故それが分からず勝手に逃がしたりしたのだ」
と、二人を斬り棄てると、兵を起こして追いかけた。
ようやく御車に追いつくと、どっと鬨の声を上げ、大声に、
「その御車、しばし待て」
と呼びかけた。
献帝は涙に暮れて大臣に、
「ようやく李かくの元を逃れる事が出来たと思ったのに、今度は郭に捕らわれようとは。どうしたらよいのじゃ」
百官が右往左往しているうちにも賊軍はますます迫る。そこへ太鼓が一つ鳴り響き、山陰から一人の大将が大軍を率いて現れた。これは李かくに敗れて以来、軍を率いて潜んでいた楊奉が、天子の警護に駆けつけたものだった。郭の武将が楊奉を逆賊呼ばわりすると、楊奉は大いに怒って一人の大将を差し向けた。すると大将は一刀の元に武将を機って棄てた。間をおかず楊奉が兵を仕掛ければ、郭の軍は大敗して退却した。楊奉が郡をまとめて天子の御前に伺うと、献帝から、
「よくぞ朕を救ってくれた。礼を述べるぞ」
とのお言葉を賜ったので、楊奉は深々と平伏して感謝した。
「先ほど見事な戦いをみせた武将はどういった者か」
とのご質問に、楊奉がその大将を御前に平伏させて、
「これは姓を徐(じょ)、名を晃(こう)、字を公明と申す者でございます」
と奏上した。献帝は彼を厚くねぎらわれた。楊奉は御車を警護して歩みを進めた。

 

郭は一敗をしたが、次の日再び軍を率いて殺到してきた。徐晃が真っ先に出陣したが、郭の軍は数に物を言わせ八方からひしひしと取り囲み、天子と楊奉を取り囲めた。最早これまでと思われたとき、にわかに鬨の声が天に響き、一人の大将が軍を率いて郭の軍に襲い掛かった。賊軍があたふたと慌てるところを徐晃がここぞと攻め掛かり、散々に打ち破った。現れた大将が天子の御前に現れれば、これは国舅の董承(とうしょう)である。帝が涙を零しながらこれまでの経緯をお話になれば、
「陛下、ご安心くだされ。わたくしは楊奉殿と共に力を合わせ李かくと郭を滅ぼし、天下を鎮めて見せます」
と、董承が奏上した。帝は安心し、急ぎ洛陽に向かうようにお命じになり、夜通し御車を進めて、洛陽に到着された。

 

さて、郭は敗軍を率いて帰路に着く途中、李かくに出合った。
「楊奉、董承は天子を守って洛陽に行きおった。もし山東に出て足場を固められたら、我らを討伐しようとするのは必定。そうすれば我らの一族もただでは済まされないぞ」
「いまのところ張済の軍は長安に腰を据えて、簡単には動きまい。この隙に手勢を合わせて洛陽を襲い、天子を殺して天下を分け取りにするというのはどんなものだ」