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李かくと郭再び手を結び、帝の心痛いよいよこれに極まった

郭は喜んで承知し、二人は手勢を合わせて立ち上がった。道中窃盗や追い剥ぎを働き、彼等の通った後は何一つ残らなかった。楊奉、董承は賊軍が再びやってくると聞くと、兵を率いて取って返し大いに戦った。李かく、郭は、
「味方の数の方が圧倒的に多い。がむしゃらに押せば勝てるぞ」
と話し合い、李かくは左から、郭は右から、数に物を言わせて押し寄せた。楊奉、董承は左右に別れ死に物狂いで戦い、ようやく帝と御車だけは救い出す事ができたが、百官や女官、重要書類、天子のお持ち物などすべてを棄てなければならなかった。郭は洛陽に入り、ほしいままに略奪を働いた。楊奉、董承は御車を守って逃れ、李かく、郭は兵を分けてこれを追った。

 

楊奉、董承は人を遣わして李かく、郭に和睦を求めると共に、一方で密かに加勢を集めた。加勢の中には李楽(りがく)という者がいて、やむを得ず救援を呼び掛けた者だった。彼は元々山賊をやっていたが、天子が過去の悪事を許し官位を賜うと聞いて、全軍を挙げて駆けつけ、董承と合流して再び洛陽を取った。その時、李かくと郭は至る所で人民から略奪し、弱い者は殺し、強い者は軍に加えた。こうして凄まじい勢いを持った軍になっていった。李楽の軍は先陣としてこれにあたったが、軍記の乱れを突かれ早々に破れてしまった。楊奉、董承は御車を守って北へ逃れたが、賊軍が背後に迫ってきたので李楽が、
「賊軍が迫ってきています。陛下は先に馬でお逃げくださいませ」
と言うと、献帝は、
「朕は百官を見捨てていく事はできぬ」
とお答えになる。一堂声を上げて泣き泣き献帝に随行した。楊奉、董承は賊の追撃が急性なのをみて、天子に御車を棄てるように願って、徒歩で黄河の岸辺まで向かえば、李楽らが小船を一舟探し出してきて、帝をお渡ししようとした。帝は皇后と厳しい寒さの中、岸まで到着されたものの、切り立った岸から舟に降りる事がおできにならず、追っ手はもはや間近に迫ってきた。そこで絹で帝を包み、まず帝を下ろして、ようやく舟にお乗せした。李楽が剣を突きたて舳に立っている内に、皇后の兄が皇后を背負って舟に降りた。岸に取り残された者たちが、争って舟に捕まろうとしたが、乗り切れずにすがってくる者たちは、李楽が指を斬りおとし、号泣する声は天に鳴り響いた。

 

河を渡ると、帝のお側に残ったのは僅か十五、六人に過ぎず、楊奉が牛車を一台探してきて帝をお乗せし、先を急いだ。食料もなく、その夜土地の老人が粗食を献上してきたので、帝と皇后は召し上がろうとなされたが、とても喉を通らない始末であった。