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劉備呂布討伐の命を受け、張飛呂布に斬りかかる

曹操は荀ケの策を採用し、ただちに詔を請い、劉備の役職を高位にすると共に、密書を一通送った。その内容は呂布を討てというものであった。
その頃、劉備は徐州におり、帝が許都に住まわれたと聞き、お祝いの上奏分を奉ろうとしていた頃に、勅使が来たとの報せがあったので、詔を拝受して勅使のために宴席を設けて接待した。その席で勅使から、
「貴殿がこの度の出世をされたのは、ひとえに曹操将軍のご推薦によるものですぞ」
と言われ、劉備が感謝の言葉を述べると、勅使は密書を取り出して劉備に渡した。劉備はそれを読んで、
「これはよくよく考えさせて下さい」
と答えた。

 

さて、その夜劉備が一同を集めて密書の件を協議すると、張飛(ちょうひ)は、
「呂布は元々義理を知らないやつだ。ちょうどいい、あっさり片付けたらいい」
と言う。
「彼は途方に暮れてわれらを頼ってきた者じゃ。それを手にかけたとあれば、われらが不義理者となるではないか」
「兄者はお人よしにも程がある」
しかし劉備は頑として受け入れない。

 

翌日、呂布がお祝いに来たので、劉備は中へ通させた。
「劉備殿がこの度ご勅命を拝し、出世されたと聞いたので、お祝いに参った」
呂布の言葉に、劉備が返礼しようとしたとき、突然張飛が剣をきらめかせて呂布に斬りかかろうとしたので、劉備が慌てて遮った。
驚いた呂布は、
「張飛殿は、何ゆえ俺を殺そうとされるのか」
「曹操が貴様を不義理者だと言い、俺の兄貴に殺すように命じたのだ」
と叫ぶ張飛を、劉備が叱り付け退けた。
その後に呂布に事の経緯を説明し、曹操のよこした密書を見せた。
読んで呂布は、
「これは曹操が我らの仲を裂こうとしているのだ」
「呂布殿、お気になさらぬように。わたくしは誓ってこのような不義理は致しません」
呂布が感謝の意を示すと、劉備は呂布を引き止めて夜まで酒にふけった。
その様子を見て関羽(かんう)、張飛の二名に、
「兄者はなぜ呂布を殺さないのですか」
と尋ねられて、劉備が、
「曹操はわれらが呂布と手を組んで攻め上るのを恐れてこの密書を送り、我ら両名を討ち合せようとしたのじゃ。その手には乗らぬわ」

と言うと、関羽はなるほどと頷いたが、張飛は、
「俺は是非ともこの機会にあの野郎を片付けておきたい。その方が後の禍根を断つというものだ」
「それは大丈夫のすることではない」
と劉備に窘められた。

 

次の日、劉備は勅使を送り出すにあたって帝への感謝を述べる上奏文を認めて渡すと共に、曹操への返書を託したが、そこにはゆるゆると手を下すとだけ書いておいた。