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呂布袁術の裏切りに怒り、劉備と和解を望む

さて張飛(ちょうひ)が剣を引き抜いて己の首を刎ねようとした時、劉備(りゅうび)はそれを抱きとめ剣を奪ってから、
「我ら三人桃園に『同日に生まれる事は叶わずとも、同日に死なん』と誓い合った仲ではないか。何も死を急ぐことはない」
と激しく泣いたので、関羽(かんう)、張飛共々感激して涙を流した。

 

さて、その頃袁術(えんじゅつ)は呂布(りょふ)が徐州を奪ったことを知ると、呂布に宝物兵糧などを送る事を約束し、共に劉備を攻めようと申し入れた。喜んだ呂布は劉備の背後を襲うため、手勢を向かわせた。しかし劉備はすでに引き払った後で、東の地を目指していた。呂布の将は紀霊(きれい)に会って約束のものを要求したが、袁術に話を通した上で送ると言う。報告を聞いた呂布が不審に思っていると、袁術からの書状が届いた。それを読むと、
「軍勢は確かに参ったが、劉備を倒したわけではない。劉備を捉えた暁には約束の品々をお送りしよう」
とある。呂布は袁術の裏切りに怒り心頭、すぐさま兵を起こして攻めかかろうとした。しかし陳宮(ちんきゅう)の言うのに、
「それはなりません。袁術は大軍を擁し兵糧も十分に備えております。軽々しく敵に回すべきではございらぬ。むしろ劉備を呼び返して領地内に住まわせ、我らの仲間としておくのがよろしいでしょう。後日劉備に命じて、まず袁術を亡ぼし、次に袁紹(えんしょう)を打ち亡ぼして、天下を狙うべきです」
呂布はその言葉に従い、劉備の元に迎えの使者を送った。

 

さて劉備は東の地を目指していたが、袁術の夜襲にあって大勢の手勢を失い、引き揚げてくる途中で呂布の使者に出会って書状を受け取り、大いに喜んだ。
関羽、張飛が、
「呂布は義理を知らぬ奴。簡単に信じる事はできませんぞ」
と、言ったが、劉備は、
「彼が厚意で呼んでくれたのに、疑う事もないだろう」
と聞き入れない。
こうして徐州に着くと、呂布は劉備が疑惑を抱くのを恐れて、まずは劉備の家族を帰した。甘夫人(かんふじん)、糜夫人(びふじん)は、呂布が兵士を館の門の前に立たせ、余人の立ち入りを禁止したことや、侍女を遣わせて何一つ不自由しなかったことなどをつぶさに語った。
劉備は呂布に礼を述べに城へ入っていった。張飛は呂布を憎んでいたので、共に行こうとせず、二人の夫人を守って先に棲家へ向かった。
劉備が呂布に会って礼を述べると、
「わしは城を奪うつもりなど無かったが、弟御の張飛が酒の席で人を害したりしたので、万が一の事があってはならぬと、代わりに守りに参ったのだ」
と、言う。