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袁術劉備を破らんとするも、呂布戟を射て和解を勧める

さて、その大将が劉備(りゅうび)を破る策があるというので、袁術(えんじゅつ)が仔細を尋ねると、
「劉備を破ることはたやすいことでございますが、問題は呂布(りょふ)が徐州(じょしゅう)におること。彼には先日宝物や兵糧を与えると約束しておりましたが、未だ与えておりません。そこでただちにこれを与え、劉備に味方しないようにさせれば、劉備攻略は成せるでしょう。まず劉備を取り押さえて、その後に呂布を討てば、徐州を得ることが出来るというものです」
袁術は喜んでその策を取り入れた。呂布に兵糧を贈り機嫌をとると、紀霊(きれい)を大将に出陣した。

 

小沛(しょうはい)にいた劉備は袁術が攻めてくると聞いて、軍議を開いた。張飛(ちょうひ)が迎え撃とうと言ったが、孫乾(そんけん)が反対して、
「今われらには兵も兵糧も少なく、とても勝つ見込みがありません。ここは呂布に援軍を求めるのが良策かと思われます」
劉備はこの言を取り入れ、書面を呂布の元に届けさせた。
呂布はこれをみて陳宮(ちんきゅう)と協議し、
「先頃袁術が贈り物をしてきたのは、わしに劉備の加勢をさせまいが為だったに違いない。しかし劉備もこうして加勢を求めてきている。思うに、劉備が小沛におってもわしに害は無いが、もし袁術が劉備を亡ぼしたらわしを討ちにやってくるに違いない。今は劉備を助けてやろう」
と、兵を整え出立した。

 

さて、紀霊は大軍をもって小沛に押し寄せたが、劉備はわずかな兵を持つばかりであった。やむを得ず城外に陣を張ったところ、呂布が兵を率いて出陣してきたとの報せがあった。
呂布は、
「わしに考えがある。袁術、劉備共にわしを恨まずに納得させてやる」
と使者を紀霊、劉備の両陣へ送り、二人を酒宴に招いた。二人はそれぞれ単身招かれているものと思い、招待に応じた。ところが宴席にて鉢合わせをし、お互い仰天し身を翻した。しかし呂布が、
「わしは貴公らお二人を呼んで話し合おうと思ったのだ。貴公たちはわしの顔に免じて、戦をやめてくれぬか」
という。しかし双方容易に是とは言わない。そこで呂布は戟を片手に掴んだので、紀霊、劉備共に顔色を失った。すると呂布は、
「この戟を百五十歩離れた場所に突き立てて、わしがもし一矢で戟に当てることが出来たら、貴公らは戦いをやめられよ。外れた場合は合戦をすると良かろう」
と言った。
紀霊は内心、当たるわけが無いと思い、承諾した。劉備は命中するように心中に祈りを込める。呂布は弓を引き絞り、
「とう」
と一声、矢を放った。