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陳登策を持って呂布を説き、韓せん内応す

さて袁術(えんじゅつ)は広大な領地と豊富な作物に恵まれていたうえ、孫策から質に取った伝国の玉璽まで持っていたので、ついに皇帝を名乗る事に決めた。反対する者は斬って棄てると脅し、皇位に昇った。
そこで呂布(りょふ)の娘を呼び寄せ、東宮の妃にしようとしたが、呂布が既に使者を曹操(そうそう)に斬らせたと知り、大いに怒って徐州討伐に乗り出した。

 

呂布は袁術が大軍を率いて来たとの報せに、急ぎ幕僚一同を呼び集めて協議を行なった。陳宮(ちんきゅう)は、
「このたびの禍いは全て陳珪(ちんけい)親子が招いたものです。この二人の首を斬って差し出せば、袁術も軍を引き揚げるでしょう」
という。この言葉を受けて呂布が陳珪、陳登(ちんとう)を捕らえるように命じたところ、陳登はからからと笑って、
「これはなんと情けないことを申されるのか。袁術など敵ではないではないですか」
これを受けて呂布は、
「貴様に敵を破る計があるなら命を助けてやる」
「袁術の軍は多勢とはいえ、みな烏合の衆にございます。こちらは要害を固め、奇兵を出して対抗すれば、勝ちを得ることは確実です。さらに徐州を安泰に保つのみか、袁術を生け捕りにする手もございます」
「してその計とは」
「韓せん(かんせん)、楊奉(ようほう)は曹操を恐れてやむを得ず袁術を頼っていった者です。袁術との間に信頼関係はございません。彼らを内通させ、さらに劉備(りゅうび)殿に加勢を頼めば、袁術を手捕りにできるでしょう」
「ならば、そなたが韓せん、楊奉の元に書面を届けよ」
陳登はこれを承知した。

 

やがて韓せんが軍を率いて陣を構えたところへ、陳登が訪れた。
韓せんは、
「貴様は呂布の味方ではないか。何をしに来た」
「それがしは漢朝廷の臣下だ。呂布の家来呼ばわりはお笑い種です」
陳登は笑ってそう言った。
「韓せん殿とて、以前は漢朝廷に仕える身でありながら、今こうして逆賊に仕えなさるとは、まことに残念なこと。しかも袁術は小心者ゆえ、先々韓せん殿のお命がどうなるかも知れません。ここで思い直さなければ、後々後悔してもどうにもなりませんぞ」
「それがしも漢朝廷に戻りたいとは思っておるのだが、取り持ってくれる者がいないのでの」
陳登は呂布の書面を取り出すと、韓せんに渡した。韓せんはそれを読み終わると、
「しかと承知した。それがし楊奉殿と語らって内応いたす。火の手を合図に呂布殿より攻めかかって下され」
陳登は呂布の元に戻ると、この旨を伝えた。