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曹操呂布討伐を企て 事明らかになる

曹操は笑って、
「わしはとてもそれほどの器ではないわ」
その言葉を受けて荀ケ、
「郭嘉殿のご高説、それがし全く異論がありません。袁紹の軍勢など恐れるにたりません」
郭嘉、
「しかし、徐州の呂布(りょふ)は大層な厄介者。今袁紹が公孫さんを討伐する為北上する隙に、まず呂布を亡ぼして東南の地を治め、その後に袁紹討伐に取り掛かるのが上策と考えます。さもなくば、我らが袁紹に立ち向かっている隙に呂布が許都を襲うことは必須、面倒ごとになるでしょう」
曹操はこの言を取り入れ、呂布討伐の事を協議した。その場で荀ケが、
「まず劉備(りゅうび)に使者を送って手筈を整え、返事を待って出陣するのが妥当かと存じます」
と言われて、劉備に書面を送ると共に、袁紹からの使者に
「貴殿は公孫さんを討たれよ。我らは十分な援助をいたす」
と応えた。袁紹はこの返事に大いに喜び、ただちに公孫さん討伐に打ち立った。

 

さて呂布は徐州にいたが、宴会を開くごとに陳珪(ちんけい)、陳登(ちんとう)親子が口を揃えて呂布を褒め称えるので、陳宮(ちんきゅう)は疑心を抱き、機会を見て呂布へ言った。
「陳珪親子が将軍に媚びへつらうのは、何か下心があっての事かもしれません。ご用心ください」
「何を言うか。貴様は罪も無い者を讒言する気か」
陳宮は、
「忠言が受け入れられぬようでは、ここにいてはわしの命も危ういものだ」
と嘆息し、呂布を見限り立ち去ろうと考えたものの、情もありそこまではできず、かといってまた人の笑いものにされはしないかと思って、日々鬱々として過ごしていた。ある日、憂さ晴らしに狩りに出かけたところ、街道を飛ばしていく一騎の飛脚を見かけた。不審に思った陳宮は、狩りを投げ出しその者を取り調べてみると、劉備より曹操にあてた密書が出てきたので、呂布の前に引っ立てた。呂布が問いただすと、使者は、
「丞相が劉備殿へ書面を送られ、これはその返書にございますが、わたくしは内容は存じ上げておりません」
と答える。そこで封を開いて入念に読んだところ、その概略は以下のようなものであった。

 

呂布を討てとのご命令を奉じましたが、わたくしは無勢にして大将の数も少なく、身動きが取れません。もし丞相が大軍を起こされるのであれば、わたくしは先駆けをお勤めいたしたく、慎んでご命令をお待ちしております。

 

呂布は読み終わると、
「おのれ曹操、よくもこのわしをたばかったな」
と、ただちに使者を打ち首にした。