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呂布と開戦し 夏侯惇目玉を喰らう

呂布は陳宮らに命じ山賊らを配下に加え、曹操の領地に向かわせた。さらに張遼(ちょうりょう)らに劉備を襲わせた。呂布自らは中軍を率いて、火急の際に備えた。
さて、張遼らが劉備攻略に向かっていることを知らせるものがあった。劉備が急いで臣下を集めて協議すると、孫乾(そんけん)が言った。
「急いで曹操殿に急を告げるのがよろしいと存じます」
「誰か使者として行ってくれぬか」
「それがしにお申し付けくださいませ」
と、進み出た者がある。それは劉備と故郷を同じくする人物で、姓は簡(かん)、名は雍(よう)、字は憲和(けんわ)である。劉備は簡雍に書面を託し、自らは城にこもって守りを固めた。呂布軍が攻めてかかったが、劉備は門を固く閉ざして取り合わない。翌日、張遼が兵を率いて攻めかかったが、関羽が櫓から、
「お見受けするところ貴公は品に優れている。しかし何故逆賊に付き従うのだ」
と言えば、張遼は何も言い返せなかった。関羽は張遼に忠義の心があるのを見抜き、討って出た張飛を呼び戻した。張飛はその意図を悟り、城門を固く守りそれ以上討って出ようとはしなかった。

 

さて、簡雍は許都に着いて曹操に面会すると、事情を詳細に説明し、援軍を求めた。曹操はただちに幕僚一同を呼び集めて協議を行なった。
「わしは呂布を討とうと思うが、留守中に劉表、張しゅうが攻め込んでこぬか気がかりじゃ」
と曹操が言うと、荀攸(じゅんゆう)が、
「奴らはまだ敗れたばかりで当分は動けますまい。呂布は勇猛な男。もし袁術(えんじゅつ)と手を結んで領地を広げられれば、ますます面倒な事になるでしょう」
と言い、郭嘉も賛同した。
曹操はこれに同意して、すぐさま夏侯惇(かこうとん)、夏侯淵(かこうえん)らに兵五万を与えて出陣させ、自らも大軍を率いて出立した。
このことを呂布の手の者がいち早く察知し、呂布に進言した。呂布は曹操を迎え撃つべく、軍勢を引き上げて陣を布いた。
劉備は呂布軍が退去していくのを見て、曹操の軍勢が来たことを悟り、関羽、張飛を伴い全軍を率いて出陣し、曹操の軍に呼応した。

 

さて、夏侯惇は軍を率いて進むうち、呂布軍と真っ向からぶつかり合った。ただちに軍を率いる武将に戦いを挑み、圧倒した。その首を取ろうと追い掛け回すところへ、呂布軍から一本の矢が放たれ、夏侯惇の左の目に突き刺さった。夏侯惇は急いで矢を引き抜いたが、目玉まで抜けてきたので、
「これは父の精、母の血だ。一片たりとて無駄にしてなるものか」
と、そのまま口に入れて飲み込んだ。再び槍を構え、矢を放った武将目掛けて馬を躍らせれば、武将は不意を突かれ顔の真ん中を突き殺された。これを見た両軍の兵士は、皆息をのんだ。夏侯惇が味方の陣へ馬を飛ばせば、呂布軍は全軍なだれかかったので、曹操軍は散々に打ち崩された。そこへ呂布が率いる軍勢も到着し、劉備、関羽、張飛三人の陣へ押し寄せる。さて劉備の勝敗のほどはどうなるか。それは次回で。