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陳登巧みに呂布を操り 戦況を俯瞰する

山東に進んでいくと、山賊らが三万余りの兵を率いて行方を遮った。曹操が許ちょ(きょちょ)に出馬を命じると、敵将四人が応じてくる。許ちょはものともせず、敵将を蹴散らし、曹操は勢いに乗って敵兵を追い立てた。呂布の手の者が、これを呂布に伝えた。

 

さて、呂布は陳登(ちんとう)と共に出陣するため、陳珪(ちんけい)に徐州の守備を命じた。陳登の出陣に臨んで、陳珪が言った。
「以前曹操殿は東方の事をすべてお前に任すと仰せられた。今日が呂布の命日じゃ。心してやれ」
「外のことはわたくしがよいように計らいます。呂布が敗れて戻って参りましたら、父上は糜竺殿と協力し城を閉ざし、呂布を立ち入れさせないで下さい。その時にはわたくしは別に逃げる手段がございます。」
「だが、ここには呂布の家族や腹心のものどももいるが、これはどうしたものか」
「それについては、わたくしに考えがございます」
陳登は呂布に言った。
「徐州は曹操が全力で攻めてくるのが目に見えております故、我々としても万が一の事態に備えておくべきでしょう。具体的には予め軍用金、兵糧などを下?に移しておくことです。徐州が取り囲まれるようなことがあっても、下?の兵糧にてまかなうことが出来ましょうぞ」
「陳登、良いことを言ってくれた。家族も移しておくことにしよう」
呂布はただちに家族と軍用金、兵糧などを下?に移させておいて、自ら軍を率いて陳登を伴い出陣した。軍行半ばまで来た時、陳登が、
「それがしが先に参って曹操の軍情を探って参ります」
と言い、呂布がこれを許したので、陳登は関に先行した。陳宮らが出迎えると、彼は言った。
「呂布様は貴公らが討って出ようとしないのをご立腹だ。処罰をされるため、直々ご出馬なされたぞ」
「曹操の軍は兵士が多く勢いも盛んで、我らも軽々しく出ることも叶わぬのじゃ。この関は我らがお引き受けいたすによって、呂布様には城を固められるようお勧めくだされ」
陳登はさも納得したように聞いていた。夜が更けてから闇に紛れて三通の書面をしたため、矢に結び付けて関の下へ射込んだ。そして翌日陳宮と別れるなり、馬を飛ばして呂布の元に戻った。
「関では、関を明け渡そうとする不届き者がおりましたので、陳宮に踏みとどませておきました。呂布様は暮れ方に押し寄せて、陳宮の危急をお救い下さいませ」
「そなたがいなければ、関を失うところであった」

と、呂布は陳登を関へやって陳宮と手筈を整えさせ、狼煙を合図と決めた。