三国志演義.com - やさしく読める三国志演義 -

呂布晒し首となり 張遼命を救われる

呂布は城下に曹操の軍勢が押し寄せてきているのを見て。やむを得ず自ら応戦した。夜明けから昼まで戦ったところ、曹操の軍勢がわずかに退いたので、気が緩んだ呂布は椅子に座ったまま居眠りをしてしまった。この機を逃さず反旗を翻した者たちは呂布を縛り上げた。呂布は夢から覚めてみると己は生け捕りにされており、曹操の軍勢が一気に押し寄せた。
曹操は入城すると同時に命令を出して、決壊させた水を退かせて住民の不安を取り除くと共に、劉備と共に関羽、張飛を側に控えさせて呂布を引っ立てた。さしもの勇将呂布も、がんじがらめにされては息もつけず、大声でわめいた。
「もう少し縄を緩めてくれ」
しかし曹操は、
「虎を縛るには、それくらいが適当じゃ」
と聞き入れない。
やがて陳宮が引っ立てられてくると、曹操が言った。
「陳宮、その後変わりはないか」
「貴様は心が醜いので見棄てたのだ」
「ならば、呂布などに仕えたのはどういうわけじゃ」
「呂布は能無しとはいえ、貴様のような奸賊とは違うからだ」
「そなたは以前より知恵があるのを自慢していたが、この有様は一体どうしたことじゃ」
「呂布がわしの言葉を聞き入れなかったからだ」
「それで、今日はどうするつもりじゃ」
「死あるのみだ」
「そなたには年老いた母親や妻子がいたはず。彼らをどうするつもりだ」

「天下人とはむやみに人の親子を害しないと聞いておる。母や妻子の命は貴様の心次第だ。こうして捕らわれた上は、早々に首を斬ってくれ。何も思い残す事はない」
曹操は内心殺すのに躊躇していたが、陳宮が自ら処刑台に向かうのを見て、涙ながらにこれを見送った。そして従者と陳宮に聞こえるように、
「陳宮の老母と妻子を許都に送り返して安楽に暮らせるようにいたせ」
と言った。陳宮は一言も発せず、自ら刑に服した。

 

曹操が陳宮を見送っている間、呂布が劉備に言った。
「わしは貴公の恩人だ。一言口添えしてくれても良いではないか」
劉備は頷いた。
曹操が再び元の席に着くと、呂布が叫んだ。
「わしはこの通り降参いたした。今後は曹操殿が大将となり、わしが副将となれば恐れるものは何もないではござらぬか」
曹操は劉備を顧みた。
「呂布が二人の義父を殺したことをお忘れですか」
呂布はその言葉を聞くと、劉備を散々に罵った。
「貴様、戟を射たときのことを忘れたか」
その時、大声に叫んだものがいた。
「呂布、見苦しいぞ。死ぬときは死ね。何だ、その様は」
一同声の主を見れば引っ立てられた張遼である。曹操は呂布を晒し首とさせた。

 

さて、張遼が曹操の眼前に引っ立てられてくると、曹操は自らその首を刎ねようとすれば、張遼に恐れる色はなく、首を差し伸べて待ちかまえる。その時、曹操の後ろから一人が利き腕を押さえ、一人が前に跪いた。
「丞相、今しばらくお待ちください」
さて張遼を救おうとしたのは誰か。それは次回で。