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劉備献帝に謁見し 曹操巻狩にて天子の万歳を受ける

さて曹操(そうそう)が張遼(ちょうりょう)を処刑しようとしたとき、それを止めた者があった。誰であろう、劉備(りゅうび)と関羽(かんう)である。二人は張遼の人格がすぐれていることを訴え、これを用いるように進言した。
曹操も剣を捨てると、自ら張遼の縄を解き、張遼はその待遇に厚く感じ入って降参した。

 

曹操は劉備に向かって、
「そなたは大功を立てられたので、天子にお目通りが叶った上に爵位を授かるだろう」
と言った。劉備を慕う平民たちは、これを聞いて喜ばないものはなかった。

 

さて翌日、献帝(けんてい)が朝廷にお出ましになると、曹操は劉備の功績をたたえ、お目通りをさせた。
献帝は、皇室の家系図を取り寄せられて、劉備の身元を確かめさせた。帝が系図を見れば、劉備は帝の叔父に当たっている。帝は心中、
「曹操が権力を握り、朕が傀儡と化している今、こうした屈強な叔父をたのは願ってもない幸せだ」
とお考えになられた。

 

曹操が屋敷に戻ると、荀ケ(じゅんいく)らが言った。
「天子が劉備を叔父と認められたのは、曹操様にとって不利ではないでしょうか」
「天子の叔父と認められたからには、わしが天子の詔を発せれば、彼はますます逆らうことが出来なくなるだろう。何も恐れるには足りぬ」
曹操は己より天子に心を寄せる者を洗い出すために、天子を巻狩に呼んだ。
天子が立て続けに弓矢を外すと、曹操は天子の弓矢を拝借して、見事に鹿を打ち止めた。天子が成したと思った百官は万歳を叫んだが、曹操は天子の前に立ち、その賛美を一身に受けた。劉備の傍らに控えていた関羽は怒り心頭、薙刀を片手に曹操を斬り殺そうとしたが、劉備に止められて思い止まった。
狩りが終わった後、関羽は劉備に言った。
「曹操の仕打ちは天子を侮辱するもの。それがし国の害を取り除こうと致しましたのに、なぜ兄者は止められたのでござるか」
「曹操は天子のすぐお側におり、身の回りを腹心の者で固めている。万が一そなたが仕損じたら、罪に問われるのは我らの方だ」
「しかし、今日あの国賊を殺しておかなかったことは、後々必ず悪事を働くでしょう」
「その思いはしばらく胸に収めておきなさい。決して口外するではないぞ」
と、劉備は関羽に口止めをした。

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