三国志演義.com - やさしく読める三国志演義 -

張しゅう賈くの言に従い、曹操に帰順する

さて曹操(そうそう)が劉岱(りゅうたい)、王忠(おうちゅう)を斬らせようとしたとき、孔融(こうゆう)がそれを諌めて、
「あの二人はもともと劉備の敵ではないことをご承知の上派遣されたのではありませんか。もし彼らを斬れば将兵の心を失うことになりましょうぞ」
と言ったので、曹操は二人の死罪を免じて位を取り上げるに留め、自ら劉備討伐の兵を起こそうとした。すると 孔融が、
「ただいまは冬の盛りにござれば、出兵の時機ではないでしょう。それより、まずは張しゅう(ちょうしゅう)、劉表(りゅうひょう)をお味方とし馳せ参じさせ、その後徐州をお攻めになるのがよろしいかと存じます」
と言うので、曹操はその言を受け入れ、まずは張しゅうのもとに使者を派遣した。

 

するとちょうど同じ時に張しゅうのもとに袁紹(えんしょう)からの使者が訪れ、帰順を促す書面を差し出した。賈く(かく)が袁紹の使者に向かって笑いながら、
「そなたは帰って袁紹殿に、『貴様は弟ですら信じられぬのに、どうやって天下を使いこなせるか』と伝えるがよい」
と、その場で書面を引き裂き、使者を追い返した。
張しゅうは戦々恐々として、
「袁紹は今や曹操を凌ぐ勢いを持っているのだぞ。このような振る舞いをして、彼が攻めてきたらどうするつもりだ」
これに賈くは、
「曹操の味方に付けばよいのです」
「わしは前に曹操の恨みを買っている。今更味方には付けまい」
「曹操のもとに降れば利益がございます。また、曹操は天下を取ろうという志を抱く以上、私怨を捨てて徳の広さを示すために張しゅう様をお許しになるでしょう。躊躇の必要はございません」
張しゅうは賈くの言に従って、すぐさま許都に赴いて帰順した。

 

さて曹操は劉表に帰順を勧める書面を送った。劉表のもとには袁紹からの使者が参っており、劉表は幕僚一同に謀った。
するとひとりの幕僚が歩み出て、
「もし劉表様に天下を取るお気持ちがあるのであれば、この機に乗じて立ち上がるのがよろしく、もしそのお志が無いのであればいずれおに付くのがよろしいかと存じます。今曹操は人材に恵まれ、その勢いは必ずや袁紹を破るでしょう。今のうちに荊州を土産に曹操におつきになれば、曹操は必ずや劉表様を重用されることでしょう」
しかし劉表は心決めかねて、その幕僚を許都へ送り、様子を伺わせるに留めた。

 

曹操は劉表が一向に降参してこないので、兵を起こそうとした。それをケいく(じゅんいく)に、
「袁紹、劉備が滅びていない今、無闇に兵を起こすのは宜しくありません。まずは袁紹を亡ぼし、その後に劉備を亡ぼせば、劉表など蟻を蹴散らすが如く平定できるでしょう」
と諌められ、これに従った。