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吉平曹操に毒を盛るが、かえって囚われの身となる

翌日、曹操は頭痛が起こったと偽って吉平を呼び寄せた。吉平はこれが機会とばかりに毒薬を携えて出向いた。
そして曹操の目の前で薬を煎じ、これを飲むように勧めた。しかし曹操は毒が盛ってあるのを知っているので、わざと飲もうとはしない。
「熱いうちにお召し上がりになって、少し汗を出されれば治ります」
曹操は起き上がって、
「まずは試しにそちが飲んでみよ」
「薬は病を治すためのもの、他人が舐める必要などありましょうか」
と言いつつも、既にことが露見したのをさとり、無理やり飲ませようとした。しかし曹操は薬をはねのけ、吉へ平は取り押さえられた。
「頭が痛いというのは嘘じゃ。貴様の心よく分かったぞ」
と笑い、吉平を引っ捕えると裏庭に引き出した。
「誰に唆されたのかを言えば、許してつかわそうぞ」
吉平は怒鳴った。
「貴様は帝を軽んじる逆賊、天下の者は皆貴様の命を狙っておるわ。わし一人ではないぞ」
曹操が繰り返し詰問しても、
「わしは自分で貴様を殺そうと思ったのだ。唆した者などおらん。こうして仕損じたからには死ぬばかりじゃ」
曹操は怒って獄卒に命じて吉平を痛めつけると、生き証人とするため身柄を拘束した。
翌日、曹操は宴会を開くからと言って大臣たちを招いた。董承は病気と称して出席しなかったが、董承の仲間たちは曹操に疑いをかけられるのを恐れて、揃って出席した。曹操は酒がほどよく回ったとき、

「余興として、酒の肴にちょうどよいものがござる」
と言って吉平を引きずり出した。
「こやつは悪党らと手を組み、朝廷に背き、わしを殺そうと企みおった者じゃ。ここで真相を白状させてみよう」
と言い、気絶する吉平に水をかけさせた。
「貴様と共謀する者は六名、貴様を入れて七名であろう」
曹操は吉平を拷問にかけたが、一向に白状しないので、再び連れ去られた。
董承の仲間たちは針のむしろに座るが如くの心地でいたが、宴会が終わり方々が引き上げる中、曹操に呼び止められて、やむなくそこに居残った。
「少し訪ねたいことがある。そなたたちは董承と何かの相談をしていたというではないか」
と、曹操に尋ねられたが知らぬ存ぜぬで押し通した。そこで曹操は董承の館から逃げ出してきた下僕を呼び出して対決させた。
「お前らは人目を避けて、六人一緒に書判したじゃないか。隠しても始まらねえぜ」
大臣らは、
「こやつは董承殿の妾と姦通し、お叱りを受けたのを根に持って偽りを申しております。どうぞ間に受けられませんよう」