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吉平自ずから額を割り、曹操帝の廃嫡を企てる

曹操が、
「吉平が毒を盛ったのは、董承に唆されたのでなくばどうしてこのようなことをしたというのだ」
四人は口を揃えて知らぬと言い張る。そこで曹操は四人を監禁させた。
翌日、曹操は大勢の供を連れて董承の館に見舞いに行った。董承がやむを得ず出迎えれば、曹操は董承をひっ捕らえて直ちに庭先に引き据えた。吉平が大声で
「国賊め」
と罵れば、
「誰がわしに毒を盛れと唆したのじゃ」
「天がわしに国賊を殺すよう命じられたのじゃ」
「貴様の指は十本あったはず。今九本しかないのは何故じゃ」
「国賊を殺すことを、噛み切って誓ったのじゃ」
曹操は包丁を持ってこさせて、残りの九本の指を切り落とさせて。
「これで誓いを立てるのにもさぞ都合がよかろう」
「まだ舌が利ければ俗を罵れるわ」
曹操が舌を抜かせようとすると、
「待ってくれ。わしにはとても耐え切れぬ。白状するから縄を解いてくれ」
曹操が縄を解かせると、吉平は立ち上がって、階の角に頭を打ち付けて自害した。

曹操は吉平が死ぬと、匿っていた董承の下僕を連れてこさせた。
「董承殿はこの者をご存知か」
董承は大いに怒り、
「おのれここにおったか。殺してくれる」
「この者は謀反のことを訴え出た者。殺させるわけには参らぬ」
「曹操殿は、何故このような奴の言うことをのみ信じられるのでござるか」
「他の四人がすでに捕らえられ、ことごとく白状したのに、貴様はまだしらをきるのか」
と、董承を捕らえると、董承帝より賜った詔と連判状を探し出させた。
こうして曹操は館に戻り、献帝(けんてい)を廃して新しい帝を立てようと諮った。さて献帝のお命はどうなるか。それは次回で。