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関羽顔良を斬り、袁紹大いに怒る

さてその頃、劉備は袁紹(えんしょう)のもとで、日々悶々と過ごしていた。
袁紹が、
「劉備殿は何を毎日考え込んでいるのじゃ」
すると劉備は、
「弟たちの行方は知らず、妻子は曹操に捕らわれて、平静な心を保つことができるでしょうか」
劉備が言うのを聞いて、袁紹は
「今は春先ゆえ、軍を起こすにはちょうどよいと思うのじゃが」
と、曹操打倒の策を練り始めた。
田豊(でんぽう)がこれを諌めたので、再び劉備に相談した。
「田豊は出陣しないように言っている。貴公はどう思われるかな」
「曹操は帝をないがしろにする国賊です。殿が彼をお討ちにならなければ、天下の信頼を失うこととなりましょう」
「よくぞ申してくれた」
と出兵の支度に取り掛かろうとしたとき、田豊は再び袁紹を諌めたが聞き入なかった。
田豊は重ねて、
「今ご出陣されても、勝ち目はござりませぬ」
袁紹は大いに怒り、田豊を斬り棄てようとしてが、劉備が必死にかばったので、死を免じて牢獄に下した。

 

さて袁紹が大将顔良(がんりょう)を先鋒として、対軍を率いて出陣した。
これを聞いた関羽(かんう)は、曹操の前にまかり出ると、
「丞相はご出陣なさるとのこと。何卒それが死に先陣をお申し付けくだされ」
曹操は関羽にてがらを立たせまいと、
「関羽殿のお手を煩わせるほどのことではない。お力添えをお願いするときは、こちらからお迎えに上がる」
そこで関羽を除いて合戦をしたが、ことごとく顔良に大将が打ち取られ、程c(ていいく)が,
「この戦、関羽殿でなければ敵いますまい」
「しかし、彼に手柄を立てさせれば、すぐにでも去ってしまうのではないか」
「もし劉備が生きていれば、袁紹のもとに身を寄せているに違いありません。今もし関羽殿を使って袁紹の軍勢を破らせれば、袁紹は必ずや劉備を殺すでしょう。劉備が死ねば関羽とて出て行きは致しまい」
曹操はなるほどと大いに喜び、関羽を迎えに行かせた。
関羽は青龍刀引っさげ、赤兎馬に乗って曹操の前に見参した。
「顔良のために大将二人を続けざまに打ち取られて、どうにも手が出せぬので、貴公にご足労願ったのだ」
関羽は、
「しばらく様子見をさせてくださいませ」
そうして曹操と共に顔良の軍勢を見に行くと、
「それがし、敵陣の真っ只中にてあの首を取り、丞相に献上到しまんしょう」

「顔良は侮れんぞ」
関羽は赤兎馬にまたがって、敵陣に駆け入り顔良目指して一直線で突き進んだ。顔良は薙刀を構える間も無く関羽に一閃され、その首を掻き斬り、馬に飛び乗って退却した。袁紹の軍勢はただただ仰天して、それは無人の野を行くが如くであった。
曹操は関羽に、
「将軍、恐れ入りましたぞ」
「なんのこれしき。弟の張飛(ちょうひ)なら、百万の軍中にて大将を
討ち取るのも容易いことでしょう」
曹操は大いに驚き、周りの者に、
「この先張飛に出会うことがあれば、よくよく用心致せ」
と言った。

 

さて顔良の敗軍が逃げ戻ってくると、途中で袁紹に出会ったので、関羽にしてやられた旨を話した。
袁紹は大いに怒り、
「おのれ敵に内通して、弟にわしのお気に入りの大将を斬らせおったな」
と、劉備を引き出して打首にするよう命じる。さて劉備の命はどうなるのか。それは次回で。