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関羽文醜を斬り、劉備再び責められる

やがて文醜の軍勢が攻め寄せて来た。大将たちが早く退却しようと口々に言うのを、荀攸(じゅんゆう)が急いで、
「これは敵を釣るための餌。退くことはございませぬぞ」
と止めれば、曹操がちらりと目配せをして笑って見せたので、 荀攸はその意図を悟って口をつぐんだ。
文醜の軍勢は兵糧や車を奪ったことで気を良くし、更に馬を分捕ろうと隊を乱して駆け出した。そこを曹操は狙って、それかかれと軍勢を一斉に駆け下りさせた。文醜の軍勢はが慌てふためくところ、曹操の軍勢が取り囲んだ。文醜はただ一人奮闘したが、あわてた兵士らは味方で同士討ちをしたりする始末。文醜はこれは敵わないと逃げた。丘の上でこれを眺めた曹操は、
「文醜は名将だ。誰か生け捕りにして参れ」
その言葉に張遼(ちょうりょう)、徐晃(じょこう)の両者が馬を飛ばし、
「文醜待てい」
と呼びかける。文醜は二人が追ってくるのを見ると、弓に矢をつがえて、張遼目掛けて放った。張遼がさっと前かがみになって矢をかわそうとすると、矢は兜の緒に当たって引きちぎった。張遼が諦めず追いかければ、文醜再び弓矢を放ち、今度は張遼の頬に突き刺さり、馬も前足を折って落馬した。文醜はしてやったりと張遼に駆け寄ろうとするのを、徐晃は大斧を振り回して遮ったが、文醜の大群が押し寄せて来たのを見て、これは敵わぬと馬を返して逃れた。文醜、河に沿って追いかけたが、そこへ一人の大将が現れた。これぞ関羽である。
文醜と斬りあったが、三合せずして文醜怖気付き、馬を返して逃げようとする。しかし関羽の馬は素早く、文醜に追いすがるなり背後から斬り落とした。
曹操は丘の上から関羽が文醜を斬ったのを見ると、大軍を一斉にかからせて、敵を一掃し、兵糧、馬などは再び曹操の手に取り戻された。

 

さて、後詰の劉備が到着するなり、物見の者が、
「今度も顔が赤く髭が長い男が文醜将軍を斬りました」
と注進に来たので、急いで馬を進めてみれば、河をへだてて獅子奮闘しているのはまごうことなく関羽であった。
劉備は密かに天地の神々に感謝すると共に、関羽を呼び寄せて対面しようとしたが、曹操の大軍が押し寄せてきたので、やむを得ず軍を退いた。

 

袁紹は官渡まで救援に出て陣を取ったが、
「この度も関羽が文醜将軍を殺しましたのに、劉備はそれを知りながら知らぬふりをしているのでございます」
と言った者があったので、袁紹は大いに怒って、劉備の首をはねるように命じた。
「わたくしに何の罪があるとおっしゃるのですか」
と劉備が言うと、
「貴様はまた弟にわしの大将を斬らせたではないか。これが罪でなくてなんだというのだ」