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袁紹劉備の口上に納得し、関羽孫乾と再会す

劉備は、
「死ぬ前に一言言わせていただきたい。曹操は以前からわたくしを忌み嫌っておりましたが、この度のことはわたくしが殿の御許におるのを知り、殿の手を借りてわたくしを亡き者にしようとする彼の策略にござる。殿のお怒りはごもっともなれど、何卒よくよくお考えください」
「おお、如何にも理にかなっておる。危うく賢者を殺める汚名を着るところであった」
と、左右の者を下がらせて、劉備を上座に座らせた。
劉備は礼を述べて、
「殿の体恩、誠にお報いしようにもしきれない程でございますが、関羽はわたくしが都ののお膝下にいるのを知れば必ずや馳せ参じますから、殿にお力添えをして、共に曹操を討ち取り、顔良殿、文醜殿の仇を討ちたいと存じますが、如何でしょうか」
袁紹は大いに喜んだ。
劉備は早速書面をしたためたが、適当な使者が見つからない。袁紹は陣屋を数十里に渡ってかけさせ、そのまま兵を出そうとしなかった。そこで曹操は夏侯惇(かこうとん)に官渡の要害を守るように命じて、己は都に戻り盛んな宴会を開いてそこで関羽の功績をたたえた。
「あの時わしが兵糧部隊を先に行かせたのは、敵を釣る計略だったのた。このわしの心を知っておったのは荀攸ただ一人であった」
と言ったので、一同感服した。

 

さて、宴もたけなわの時、黄巾賊の残党が現れ、曹洪(そうこう)が度重なる配線に援軍を求めていたとのこと。
関羽、これを聞くなり進み出て、
「それが出陣して賊共を平らげて参りとうございます」
「いやいや、貴公には大功を立てていただいたのに、まだ何のお礼も致しておらぬのじゃから、更なるご苦労はお願い出来かねる」
「それがしはしばらく身体を動かしていないと、必ず身体がなまって具合が悪くなります。何卒お許し下さいませ」
曹操はその活きや良しとして次の日に出立するように言った。荀いくが、
「関羽はつねづね劉備のもとへ帰ろうとしておりますゆえ、もし彼の消息を知れば行ってしまうに相違ございません。度々出陣させるのはお控え召されませ」
と囁くと、曹操は言った。
「今度手柄を立てたら、もう二度と出陣させぬ」

 

翌日、関羽は軍勢を率いて進出し、陣を構えた。その夜陣屋の外で二人の間者が捉えられた。関羽がそれを引き出してみれば、なんとその片方は孫乾(そんけん)である。関羽は周囲の者を退けて聞いた。
「貴公は先の敗戦以来行方が知れなかったが、今はどうしてここにいるのだ」
「それがしは難を逃れてより黄巾賊の残党に拾われたのでございます。将軍こそ今曹操のもとにおられるとはいかなるわけにございますか。奥方はご無事でございますか」