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関羽 六関所を破り 夏侯惇憤怒する

曹操が帰り、関羽は車の後を追って三十里あまり赤兎馬を走らせたが、一向に姿が見つからない。そんな折不意に山頂より声が掛かった。
「関羽将軍、お待ちください」
見上げると、黄巾族の装いをした若者が、歩兵百人ほどを引き連れて駆け下りてきた。
「何者だ」
と関羽が尋ねると、
「それがしは姓は廖(りょう)、名は化(か)、字を元検(げんけん)と申します。五百人あまりを引き連れて山賊をしております。今日仲間が誤って奥方方をかどわかして参りました。それがしお供の方に聞いたところ、劉備様の奥方と知り、すぐさま将軍にお返しいたそうとまかり出た次第です」
「それで、奥方はどこにおわす」
「山の中におられます」
関羽がすぐにお連れするように言えば、すぐに車をお連れした。
関羽は廖化に厚く礼を述べると、廖化は配下の者に送らせようと申し出た。関羽はこの男は立派な志を持っているが、黄巾族の残党と知りながらを共にするわけにはいかないと考え、断った。廖化は別れを告げると、配下を率いいて山中に立ち去った。

 

数日後、洛陽への道すがら、関所に差し掛かった。関所を守る大将は関羽に、
「将軍はどこへおいででござるか」
と問う。
「それがし丞相にお暇を告げて、河北へ兄者に会いに参る」
「丞相の手形をお持ちであろうな」
関羽が手形を持っていないと告げると、大将はどうしても通るなら兄嫁たちを質に置いて行けと言う。
関羽は大いに怒って大将に斬りかかると、大将は、
「通れるものなら通ってみよ」
と挑発する。
関羽は物も言わず斬りかかると、一閃にして大将を斬り殺す。
こうして道中関羽が通り過ぎた関所は五ヶ所、斬った大将は六人であった。
関羽は馬上で誰にともなく嘆息して言った。
「それがしは道中、人を殺すつもりは無かった。曹操殿がこれを知られたら、さぞかし恩知らずの男と思われることであろう」
こうして先へ進むところ、突然北の方から、
「関羽殿、お待ちくだされ」
と叫びながら馬を駆けてくる者がある。関羽が馬を止めてよく見てみれば、なんと孫乾(そんけん)である。

関羽が劉備の消息を尋ねると、孫乾は袁紹が二度も劉備(りゅうび)を斬ろうとしたので、河北を逃れ汝南(じょなん)へ向かわれたが、関羽がこれを知らずに袁紹のもとに参上して危害でも加えられてはと、自分を出迎えに遣わされたと話した。これを聞いて兄嫁たちは顔を被い涙を流して喜んだ。
関羽は孫乾の言葉に従って、河北へ行くことをやめて、汝南を目指した。ところが行くうちに背後に一隊の軍勢が追いついてきた。先頭に立つのは夏侯惇(かこうとん)である。
「関羽、待てい」
まさに、邪魔した六人が死ねば、またまた一人立ちはだかる、というところ。さて関羽はいかにしてこの難を逃れるか。それは次回で。

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