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関羽 美髯を衆目に晒し 周倉 伏して配下に加わる

山賊の男は、
「俺は、真っ赤な顔に長い髭を生やしているのが関羽だというのは知っているが、まだ見たことはない」
と答えた。
関羽は髭袋を取り外し、その長い髭を見せた。男は驚いて馬から転げ落ちると、屋敷の息子を引っ掴んで関羽の前に取り押さえた。
「それがしは黄巾族が滅んだあと、山賊をしておりました。今朝この男が参って、『日に千里も走るような馬に乗った客人が俺の家に止まっているから一緒に盗もう』と誘い出したのです。それが関羽将軍の馬とは全く存じませんでした」
と言い、屋敷の息子も平伏して命乞いしたので、関羽は屋敷の主人の顔に免じて息子を逃がした。そして改めて山賊の男に問うた。
「そなたはどうしてそれがしの名前をしっているのだ」
「山賊の頭をしている周倉(しゅうそう)という男が、かねがね関羽将軍のご勇名を語っては、お会いできないのを無念がっているのを聞いておりました」
とその時、遠くから一隊の軍勢が駆けつけてくるのが見えた。
「あれが周倉です」
山賊の男が言うとおり、先頭の男は関羽を見るなり大いに驚いて、
「これは関羽将軍ではありませんか」
と馬から飛び降りて道端に平伏し、
「それがし周倉と申します」
と言った。
「貴公、どこでそれがしを見知ったのだ」

「以前、黄巾族にいた頃、ご尊顔を拝見したことがありましたが、賊徒の中におりましたため、お膝元に馳せ参ずることができず無念に思っておりました。今日お目通りがかなったのはまたとない幸せ。なにとぞ一兵としてお加えください」
関羽はその様子に偽りが一片も無いのを見て、兄嫁たちに相談したが、婦人は難色を示した。そこでその旨を周倉に伝えると、周倉は額を地面に打ち付けて、
「今日関羽将軍にお目通りがかなってこの上ない幸せですのに、それはあんまりでございます。もし大勢でお供するのが差し障りとなら、それがしただ一人、徒歩にてお供いたしまする」
関羽が再び兄嫁たちに意見を聞くと、
「一人二人ならよろしいのではないか」
との答え。こうして周倉が一行に加わった。