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董卓に怒り袂を分かち、張宝の妖術を破る

さて、董卓(とうたく)は元々傲慢残虐な性であった。
この日も劉備(りゅうび)を踏みつけにしたので、張飛(ちょうひ)が激怒して殺そうとした。
しかしそれを劉備と関羽(かんう)が止める。
「彼は役人だ。やたらなことをするものではない」
しかし張飛の怒りは収まらない。
「あの野郎を生かしておけば、あいつにこき使われなければならないんだぞ。そんなことは俺には出来るものか。兄貴達がここに居たいなら、俺は一人で出て行くよ」
「我ら三人は生死を誓った仲ではないか。離れたりできるものか。それほどの決心ならば一緒にここを立ち去ろう」
そうして三人は手勢を引き連れて、朱儁(しゅしゅん)を頼って行った。朱儁は劉備たちを厚くもてなし、張宝(ちょうほう)の討伐に向かった。
なお、この時、曹操(そうそう)は皇甫嵩(こうほすう)に従い、張梁(ちょうりょう)と戦っていた。

 

劉備は先手として賊に立ち向かった。
すると張宝が副将を出して戦いを挑んできたので、これに応じて劉備は張飛を出陣させる。
張飛は敵と切っ先を合わせると、幾らかもしないで相手を馬から突き落とした。
これに勢いを得た劉備は手勢に命令しどっと斬り込んだ。
この時張宝が怪しげな法を使い、たちまち激しい風、雷が起こり、大きな黒い気が天から下ってきた。黒気の中からは無数の人馬が殺到するように見え、驚いた劉備が退却を命じたが、兵は混乱して逃げ惑い、惨敗して帰陣した。
この経緯を朱儁に告げると、
「敵が妖術を使うとあれば、我々は明日、豚、羊、犬を集め、賊が追っていたら山頂に隠れて、上からそれらの血や汚物を撒いてくれよう。きっと妖術は敗れる」
と言う。

 

劉備は命令を受けて、豚、羊、犬の血その他汚物を集め、関羽、張飛にそれぞれ兵一千を与えて山かげの高みに身を隠れさせた。
そして翌日張宝が戦いを挑んできた。
劉備がこれを迎え撃ち、両陣激しく競り合えば、張宝が再び妖術を使う。劉備が逃げればそれを追って来る。山の裾に入った時、一発の石弓を合図に関羽、張飛の伏勢が一斉に汚物を敵にかける。
すると、たちまち風、雷は止み、黒気とその中の人馬は霧散する。
張宝は術が敗れた為、急ぎ引こうとしたが、そこを左から関羽、右から張飛が討って出て、後ろからは劉備と朱儁が一斉に追い討ちに出たので、賊軍はさんざんに倒され、生きているものは死に物狂いで逃げ惑った。
劉備ははるか遠くに張宝の旗印を見つけ馬を飛ばして追いかけた。張宝は必死の勢いで逃げていく。劉備は矢を放って、その左肘に打ち立てたが、張宝は矢を突き立てたまま劉備を振り切り、城に逃げ込み立てこもった。