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霊帝献臣に耳を傾けず、朝廷ますます乱れる

その頃、十常侍は誰もかなわない権力を手にしたので、自分達に従わないものはことごとく殺してしまおうと話し合った。そこで十常侍は黄巾賊討伐に功績があった軍人に賄賂を要求し、従わないものは免職した。その中には皇甫嵩、朱儁もいた。帝は更に十常侍を高位の役職につけた。朝政はますます乱れ、人民の恨みの声は高まった。これを受けて各地で反乱が起こったが、十常侍は報告を全て握りつぶして帝に聞こえないようにした。

 

ある日、帝が十常侍たちと宴を開いて楽しんでいたときに、帝の顧問官が御前に進み出て声を上げて泣いた。帝がその訳を聞くと、
「天下が乱れて危ないこの時に、なぜ宦官どもを相手に宴を開いていらっしゃるのですか」
と涙ながらに言う。
帝は、
「国家は安泰じゃ。危ないことなどなにもない」
「各地で賊が群がり乱を起こし、州郡を奪っております。この災いは全て十常侍が官職を金で売り人民を虐げ、帝を騙していることから起こったこと。朝廷からは正しい人物はみな去り、禍いは目の前に迫っております」
これを聞いて十常侍は、嘘泣きをして帝を重ねて騙す。
帝は顧問官に向かって、
「そなたも家では家来を用いているであろう。なにゆえ朕のみがそれを許されぬのか」
と顧問官を責め、彼の首を斬るように武士に命じた。
顧問官は、
「わたくしは死ぬことは怖くありません。ただ悲しいのは漢皇室の天下が、今終わろうとしていることにございます」
と絶叫する顧問官を武士が取り囲んで引き出し、正にその首を切り落とそうとしたとき、一人の大臣が声をかけた。
「斬るのは待て。わしが帝にお話してみる」
彼は帝に、
「顧問官殿はどのような罪で罰を受けることになったのでございますか」

と問えば帝は、
「朕の身の回りの者を悪く言い、朕を侮辱したからじゃ」
とお答えになる。
「天下の人民は十常侍の肉を食ってやりたいほど恨んでいますのに、陛下は彼らを父母の如く敬われ、僅かな功績も無い彼らに高位の職を与えました。まして封しょ(ほうしょ)に至っては黄巾賊と手を結び、謀反を企んだ者でございます。今、陛下が正しい道に乗っ取って朝廷を改めなければ、漢皇室は終わりを告げるでしょう」
と、大臣は必死に諭したが、帝は怒り顧問官と共に牢獄に入れた。その夜、十常侍は二人を牢獄の中で暗殺し、偽物の詔を出して孫堅に賊討伐を命じた。

 

五十日をせず勝利が報告され、江夏は平定された。詔で孫堅を鳥程侯に、劉虞(りゅうぐ)を幽州の責任者に任じ、賊討伐の為漁陽へ向かわせた。
その頃代州の劉かいは劉虞に劉備のことを勧めた。劉虞は喜んで劉備と共に兵を率いて賊を討ち滅ぼし、漁陽は平定された。
劉虞は劉備に大功があったことを報告したので、監督官を鞭打ったことはゆるされて、平原県の責任者に任じられた。劉備が役職に就任して以来、平原は豊かとなった。劉虞は賊平定の功績により軍の最高責任者に任じられた。