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袁紹 地中を掘り 曹操 堀を創る

袁紹が軍勢を官渡に進めたとき、配下の一人が進言した。
「見方七十万のうち十万をこの地に集め、曹操の陣営の前に土山を築き、上から敵の陣中に弓を射掛けさせるのがよろしいかと存じます。曹操がこの地を棄て、我が陣営が手にすることができれば、都を落とすことも出来るでしょう」
袁紹はこの言を受け入れて、曹操の陣の前に山を築かせた。曹操の軍勢はそれを見て討って出て蹴散らそうとしたが、審配が石弓を携えた兵を率いて要路を抑えていたため、進むことができなかった。そうこうするうちに十日がたち、土の山は五十あまり出来上がった。袁紹はその上にやぐらを組み立て、石弓の射手を配置して射掛けさせた。曹操のは恐れおののき、みな盾を頭上にかざして身を守ろうとする。山の上で合図が鳴るたびに矢が雨あられと注ぎかけられるので、曹操の兵士たちが盾をかぶって地面にへばりつくと、袁紹の軍勢はどっと笑い声をあげるのであった。曹操は幕僚たちを集め、対策を謀った。するとひとりの武将が進み出て、
「発石車を造って破るのがよいと存じます」
と言うので、曹操は昼に夜にと発石車を数百輌作らせた。そうして袁紹の軍勢が作ったやぐらの真正面に配置すると、射手が矢を放つのを待ち受けて、一斉に発石した。すると石の弾丸が宙を飛んでやぐらに的中し、そのために身を隠すすべもないまま死んだ射手たちは数知れなかった。これ以来やぐらに上って弓矢を射ろうとするものはいなかった。

 

そこで再び審配が計略を用いた。兵士たちに地中を掘らせ道を作り、曹操の陣営まで掘り抜こうとした。これに気がついた曹操の兵士たちが、曹操に注進した。曹操がまた劉曄に対策を尋ねると、
「それは、袁紹の軍勢が正面きっての戦いは出来ないと奇襲を考え、地の下に道掘って、我が陣中に斬り入ろうとしているものにございます」
「それを防ぐにはどのような手があるか」
「陣のまわりに堀を作れば、敵の抜け道は役に立ちません」
曹操はその言を受け入れて、兵士たちに堀を作らせた。そのため、袁紹の軍勢はそこまで掘り進んだものの、それ以上進まず、いたずらに兵士たちを疲れさせただけであった。