三国志演義.com - やさしく読める三国志演義 -

十常侍を切り刻み、帝は草むらで途方に暮れる

袁紹が大声で号令をかければ、何進の武将呉匡(ごきょう)が門外に火をつける。袁術が兵を率いて皇居に切り込み、宦官を見つけては老幼を問わず殺しまくる。袁紹、曹操は門衛を斬り捨てて宮中深く踏み込み、趙忠(ちょうちゅう)、程曠(ていこう)、夏ツ(かうん)、郭勝(かくしょう)の四人を追い詰め切り刻んだ。
この間に宮中の火の手は天を焦がさんばかりになったので、張譲、段珪、曹節(そうせつ)、侯覧(こうらん)は何太后、小帝(しょうてい)及び陳留王(ちんりゅうおう)を皇居より無理矢理連れ出して、逃げ出そうとしていた。

 

この時、盧植は官職を棄てたものの都に残っていたが、宮中の変事を見て武装し宮中に乗り込んだ。段珪が何太后をせきたてて来るのが見えたので、大声で
「段珪。皇太后をどこにお連れしようというのだ」
段珪は身を翻して逃げたので、皇太后は盧植が助けた。

 

呉匡は皇居に切り込み、何苗(かびょう)が同じく剣を携えて出てきたのに出会った。
「何苗は実の兄である大将軍の謀殺に協力した者だぞ。斬り捨てろ」
との言葉に、皆の者はよってたかって何苗を粉微塵に切り刻んだ。

 

袁紹は更に兵士達に十常侍の家族を殺しつくせと命じ、ことごとく切り殺したが、髭が無い為宦官と間違えられて誤って殺される者も数多くいた。
曹操は宮中の火を静める一方、何太后に暫定的に政治を取っていただくようにお勧めし、張譲らに追っ手を差し向けて帝の行方を探させた。

 

さて、張譲、段珪は帝と陳留王をいだいて炎の下を潜り抜け、夜道を逃れた。二更頃(午後十時前後)、後からときの声をあげて人馬が迫ってきた。その先頭に立った官吏が、
「逆賊、待てい」
と叫ぶと、張譲はもはやこれまでと河に飛び込んで自害した。帝と陳留王はまだ何事が起こっているのかご存知で無いので、声を潜めて河辺の草むらに身を隠された。兵士達は四方八方を探し回ったが、帝をお探しすることが出来ない。帝と陳留王は真夜中過ぎまで隠れていらっしゃったが、
「ここには長くいられません。他に道を探しましょう」
と、陳留王が帝にご進言し、蛍の光を頼りに道を探し、明け方頃に一軒の屋敷を見つけられた。お二方はその前に積んである草に身を横たえて休まれた。すると屋敷の主が出てきて、
「これ、お前達は何処の家の子だ」
と問う。帝は返事も出来ない。陳留王が帝を指差して、
「この方は今上陛下におわすぞ。十常侍の乱にあわれて、ここまで避難なさってこられたのだ。わたしは弟の陳留王だ」
屋敷の主は大いに驚いて、帝と陳留王を助けて屋敷へお迎えし、食事をおすすめした。

 

さて、その頃段珪は官吏に捕まり帝のご所在を尋ねられたが、途中に見失い行方が分からないとの答えに、首を刎ねられた。官吏らは必死に帝の行方を探した。そうしてついに帝と陳留王が助けられた屋敷に辿りつくと、君臣共に涙に暮れた。そして司徒(民政、教育を司る最高責任者)の王允(おういん)、袁紹らの一行数百名がお迎えし、都へ帰った。