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孫堅戦に破れ、華雄大いに威を奮う

華雄の副将が討って出れば、孫堅側は程普が打って出て、数合と打ち合わず突き殺す。勢いづいた孫堅が兵士を率いて水関に殺到すれば、関の上から矢や石が雨のように降りかかる。孫堅は兵を退けて袁紹に勝ち戦を報告すると共に、袁術に兵糧を催促した。しかし袁術の配下の者が、
「孫堅は屈強の者にございます。もし彼が董卓を殺し洛陽落としたならば、彼に大権を与えることになるでしょう。しかしここで兵糧を与えなければ、孫堅の軍勢は離散するでしょう」
と言った。袁術はこの意見を取り入れて兵糧を送らなかったので、孫堅の軍は混乱が生じた。この状況が華雄側の間者から水関に報告されると、李粛(りじゅ)が華雄に、
「今夜それがしが孫堅の裏手より夜襲をかけましょう。そして将軍が正面から攻め立てれば、孫堅を生け捕りに出来るでしょう」
と献策した。華雄はこれに従い、闇夜に紛れて孫堅の陣営を目指した。そして到着するなり一斉に攻め込んだ。孫堅が慌てて鎧を身に付け馬にまたがったところへ、華雄が大声を上げてまっしぐらに斬り込んだ。両将軍が数合も戦わない内に背後から李粛が火を掛ける。孫堅の軍勢がどっと乱れてばらばらに四散すると、孫堅を華雄が追って来る。孫堅は華雄目掛けて弓矢を放ったがかわされた。そこを一人付いて来た祖茂が、
「殿の赤い頭巾が目だって賊の目印になっております」
と言い、孫堅の頭巾と祖茂の兜を交換し、別れて逃げた。すると華雄の軍勢はひたすら祖茂を追いかけ、斬り捨てた。

 

孫堅は祖茂を失ったことを深く悲しみ、袁紹に報告した。袁紹は孫堅が敗れるとは思っていなかったので大いに驚いた。そこで諸侯を集めて協議を行なった。しかし誰一人として意見が出ない。袁紹が一同をぐるりと見回すと、公孫さんの後ろに立った三人が、いずれも冷笑を浮かべていた。そこで袁紹は、
「公孫さん殿、貴公の後ろに控えているのは何者ですか」
公孫さんは劉備を前に呼ぶと、
「これはわたしが幼少の頃よりの学友で、劉備と申す者です」
すると曹操が、
「黄巾賊を破った劉備殿ではありませんか」
「左様」
と公孫さんが答える。
公孫さんは劉備に挨拶をさせ、さらに劉備の功績と家柄を説明した。袁紹は、漢皇室のご一門とあればと、劉備に敷物に座ることを勧めた。
その時物見の者が報告に来て、華雄が戦いを挑んできていると報告した。
「誰か華雄と戦う者はいないか」
袁紹が問うと、数名の武将が名乗りを挙げて出陣する。しかし次々と討ち取られた。一同蒼白になり、言葉を発するものもいない。
袁紹が、
「我が大将顔良(がんりょう)、文醜(ぶんしゅう)がまだ来ていないのが残念だ。彼等の内一人でも居れば、華雄などに遅れを取ることはないのに」
と呟くと、大声で
「それがしが華雄の首を取って御前に献じましょうぞ」

と言う者がある。