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呂布敗退し、董卓遷都を強行する

さて張飛(ちょうひ)は馬を飛ばして虎牢関(ころうかん)の下まで迫ったが、関の上から矢や石を降り注がれ、やむなく引き返した。諸侯らは劉備(りゅうび)、関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)の功績をたたえ、袁紹(えんしょう)へ勝利を報告した。報告を得た袁紹は、孫堅(そんけん)に兵を進めるように指令した。孫堅は程普(ていふ)、黄蓋(こうがい)を従えて袁術(えんじゅつ)のもとへ訪れ、怒気荒く言った。
「私が命をかけて董卓(とうたく)と戦っているのは、国家の為と袁術殿のご一門との義理の為です。しかし袁術殿は讒言(事実を曲げたり、ありもしない事柄を作り上げたりして、その人のことを目上の人に悪く言うこと)を受け入れて兵糧を絶ち、私たちを苦しめられたが、これはいかなることか、お伺いしたい」
袁術は返す言葉もなく、讒言した者を斬って孫堅に詫びた。

 

孫堅が陣屋へ帰ると、孫堅へ対面を希望するものがいると報告があった。その者を呼び寄せてみると、董卓お気に入りの李かく(りかく)である。
「貴様、何の用で参った」
「董卓様はかねてより将軍を評価しており、このたびご両家の縁組を結びたいとお考えです。そこでそれがしに命じて、ご息女を将軍のご令息のお嫁に差し上げたいとお伝えになられたのです」
孫堅は大いに怒って、怒鳴りつけた。
「董卓は悪逆非道、漢王朝を傾けた奴。その一族を皆殺しにして、天下に見せしめてくれようとしているわしが、逆賊と縁組なぞすると思っているのか」
李かくは慌てて逃げ帰り、董卓に報告した。董卓が怒って李儒(りじゅ)に問いかけると、
「呂布(りょふ)殿が敗れた今、兵の士気は下がっています。こうなったら兵を退いて洛陽(らくよう)に帰り、帝を長安(ちょうあん)へお移しして、遷都(都を別の場所へ移すこと)を行なうのがよろしいと思います」
と答えた。
「そなたが答えてくれなければ、わしは気付かなかったぞ」
と、董卓は大いに喜び、呂布を引き連れて直ちに洛陽に帰り、遷都のことを協議した。
「漢王朝の都洛陽は、二百年以上続いて運気も既に衰えてきた。わしの見るところでは次に都にするのにふさわしいのは長安である故、帝を奉って遷都を行なう所存である。皆々方も早急に準備をされるように」
と言えば楊彪(ようひゅう)が、
「長安地方は今やすっかり荒廃しています。このような時に遷都を行なえば、おそらく人民は驚き動揺することでしょう。天下の動揺を招くことは簡単ですが、これを鎮めるのは容易なことではありません。なにとぞご考慮ください」
と反対意見を述べる。
「黙れ。貴様は国家の大事を邪魔する気か」
と、董卓は聞き入れない。