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孫堅江東へ逃げ去り、袁紹公孫さんと覇を争う

さて孫堅(そんけん)は劉表(りゅうひょう)に取り囲まれたが、程普(ていふ)、黄蓋(こうがい)、韓当(かんとう)の三人の必死の働きに救われ、兵の大半を失いつつもなんとか江東に逃げ帰った。これより孫堅と劉表は敵同士になる。

 

さて、袁紹(えんしょう)は次第に兵糧に事欠くようになった。き州の責任者はこれを見て、袁紹に食糧を送った。それを見て、逢紀(ほうき)が袁紹に進言した。
「大人物とは天下に横行してこそ。他人に兵糧をめぐまれるなど情けない。き州はとても豊かな土地です。袁紹様は何故この地を奪わないのですか」
「それは承知しているが、よい策が思い浮かばないのだ」
「それではひそかに公孫さん(こうそんさん)に使者を送り、彼にき州を攻めさせるのです。領地を分け取りにしようと言えば、彼は必ず兵を起こすでしょう。さすればき州の責任者は袁紹様に領地を預かってもらいたいと言ってくるでしょう。その機会を逃さずに行動すれば、労なくして領地を取れると言うものです」
袁紹は大いに喜び、直ちに書面を公孫さんに送った。

 

公孫さんは書面を読み大喜びし、即日兵を起こした。すると逢紀の策通り、き州は袁紹の物になった。これを恨んだ者達が袁紹の暗殺を企んだが、袁紹の将軍顔良(がんりょう)、文醜(ぶんしゅう)に、赤子の手を捻るように斬り捨てられた。き州の責任者は後悔しても先にたたず、一人張ばく(ちょうばく)のもとへ身を寄せた。
袁紹はき州に入ると、田豊(でんぽう)、沮授(そじゅ)、逢紀らに州の実権を握らせた。

 

さて、公孫さんは袁紹がき州を乗っ取ったことを知り、弟を袁紹のもとへ遣わし、領地を分けようと申し入れた。ところが袁紹は、
「公孫さん殿が直々においでになればご相談に応じましょう」
というので、公孫さんの弟は引き返した。
すると帰路で不意に道端より一隊の軍が現れ、
「われらは董卓(とうたく)様の武将だ」
と言うと、雨のように弓を射掛けて公孫さんの弟を殺した。部下が戻ってこの旨を公孫さんに告げると、公孫さんは大いに怒り、
「袁紹はわしを偽ってき州を攻めさせておいて、陰で立ち回ってき州を丸ごと手に収め、今度は董卓の兵と偽ってわしの弟を射殺したのだ。この恨みはきっと晴らしてみせるぞ」
と、配下全軍をもってき州へ殺到した。
袁紹は公孫さんの軍勢がやってきたと知り、自らも軍を率いて出陣した。両軍が衝突すると、公孫さんが大声で袁紹を罵った。
「この人でなしめ。よくぞわしをこけにしおったな」
袁紹も公孫さんに指を突きつけ、
「き州の責任者は己の才能が無いことを知り、わしにき州を譲ろうとしたのだ。貴様と何のかかわりがある」
「かつては貴様を忠義の人と見込んで盟主に立てたが、今のやり方を見れば正に狼や犬に並ぶ行い。よくも世間に顔出しを出来るものだ」
袁紹は大いに怒って、
「誰か奴を捕まえろ」
と配下に命令を下した。